福盛のすゝめ2026年4月号抜粋
「人は人の話を(そのままでは)真剣には聞いていない」。
例えば、数学の公式の説明をしているとします。生徒さんが真剣に聞いてくれたとしても、私の話すスピードが、生徒さんの思考スピードより早くなってしまったら、会話に追いつけなくなり、結果として「聞いていない(頭に入っていない)」状態になってしまいます。そのため授業では、生徒さん一人一人の表情や手の動きを見ながら思考スピードを察知し、話すテンポを調整して、理解するまでの「間(ま)」を何より大切にしています。「聞き上手は話し上手」と言われるのは、相手のテンポや間をしっかり「聞いて(観察して)」、相手に合わせた会話ができるからです。
さて、話し方を工夫して「その場」でしっかり理解してくれたとしても、それで終わりではありません。人間は、覚えたことも20分経つと約42%を忘れてしまうというデータ(エビングハウスの忘却曲線)があります。人間とは忘れる生き物なのです。授業を集中して聞いても、聞いただけでは半分近くが消えてしまう。これでは実にもったいないですよね。
そこで私の授業では、初めての知識を勉強したときはただ「分かった」で終わらせないための時間を最後に設けています。今日の授業の要点を、生徒さん自身の言葉で3つほど(最初は1つでも大丈夫です)まとめてもらうのです。こうして「今日は何ができるようになったか」を最後に振り返ることで、脳に強く記憶を刻み込みます。
インプットした直後に、自分の頭で整理してアウトプットすること。この「自分の頭で考えるひと手間」こそが、記憶を定着させる最大の秘訣であり、本当の意味で学力を伸ばす「自学自習」の土台となります。
これは塾だけでなく、学校の授業でも同じです。授業が終わった直後の1分間、ノートの余白に「今日の要点3つ」を自分の言葉でメモしてみてください。「なんとなく聞き流す時間」が「自ら深く理解する時間」へと劇的に変わります。驚くほどの効果が出てきます。
成績UPには、こうした「自分の頭を動かすちょっとした工夫」の積み重ねが必要不可欠なのです。